睡眠時無呼吸とは、睡眠中に呼吸が止まってしまう状態のことを指します。中でも最もよく見られるのは、空気の通り道が狭くなり詰まってしまう閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)です。呼吸が止まることで酸素不足となり睡眠の質が低下してしまうため、日中の集中力や判断力が低下するだけでなく、肥満、糖尿病、高血圧、心筋梗塞、脳卒中などのリスクを高まるとされています。
治療は、睡眠時にマスクを装着し機械から送り込まれる一定の圧力の空気で気道を広げて呼吸しやすくするCPAP療法が代表的で、中等症以上のOSAの方は健康保険で利用することが可能です。現在では、機械と通信することで毎晩どのぐらい利用できたかを確認するだけでなく、機械の圧などの設定も遠隔で操作できるようになっています。CPAP療法はOSAに対する最も有効な治療法ですが、マスクの違和感や鼻詰まりのためにうまく使えない場合もあるので、これらへの対応をしっかり行うことが重要です。CPAP以外の治療としては、口腔内装置があります。オーダーメイドのマウスピースを作成して、下あごや舌の位置を最適化することで空気の通り道を拡大します。軽度から中等度のOSAの方に有効とされていますが、歯の状態が良いことと、鼻詰まりがないことが必要になります。
OSAの治療として、手術が行われることもあります。手術には鼻の詰まりを改善する鼻腔手術や、扁桃腺を摘出するなどののどを広くする手術だけでなく、あごの骨を移動させる手術があります。空気の通り道の中でどこが狭くなっているのか正しく診断することが必須になります。
ここ数年の新しい治療として、舌下神経刺激療法と、GLP-1受容体作動薬が利用できるようになりました。舌下神経刺激療法は舌を動かす筋肉を刺激する機械を手術によって埋め込み、空気の通り道を広げる治療です。何らかの理由でCPAPをうまく使えない人が対象になります。GLP-1受容体作動薬は、定期的に注射することで食欲を抑制し、胃の働きを遅らせることで満腹感を促し、体重減少をもたらします。どちらも治療を行うことのできる施設は限られており、また治療するにあたっては様々な条件をクリアすることが必要になります。