顔面神経麻痺・ハント症候群

       

 顔面神経麻痺は、表情を作る筋肉を動かす顔面神経の働きが障害されることで、顔の片側が動かしにくくなる病気です。突然発症することが多く、口元がゆがむ、うまく笑えない、目を閉じにくい、水や食べ物が口からこぼれるといった症状が現れます。また、顔面神経は顔の表情筋の運動だけでなく、涙や唾液の分泌や、聞こえかたの調節、味覚の一部にも関わっているため、涙が出にくい、耳が響く、味が分かりにくいといった症状を伴うこともあります。

 顔面神経麻痺の原因として最も多いのは、ベル麻痺と呼ばれる病気です。顔面神経が何らかの原因(ヘルペスウイルスの関与が疑われています)で炎症を起こし、神経がむくむことで発症すると考えられています。また、水ぼうそうの原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することによって顔面神経麻痺を発症することがあり、ラムゼイ・ハント症候群と呼ばれます。この場合は顔面神経麻痺に加えて、耳の痛みや耳介の発疹、難聴、めまいなどを伴うことがあります。
 一方で、顔面神経麻痺は脳梗塞などの脳の病気によって起こることもありますが顔面神経麻痺だけであることはあまり多くありません。脳が原因の顔面神経麻痺では症状の現れ方が異なること多いです。

 治療は、神経の腫れを抑えるステロイド薬や、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の投与をできるだけ早く(発症から数日以内)始めることが大切です。麻痺がどのぐらい進行するかによって回復までの見通しをたてることができますが、完全麻痺と呼ばれる重症例の場合は、全身麻酔下で顔面神経の周囲を削開して除圧する手術を検討することもあります。 重症例では顔の動きが十分に回復しなかったり、顔を動かした際に別の筋肉が同時に動いてしまう病的共同運動などの後遺症が残ったり、まぶたが閉じにくくなるため角膜が傷つきやすくなったりすることがあるのでリハビリやマッサージ、角膜保護などの対応も必要になります。

   

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